今年も読書感想文の季節がやってきました。
第67回青少年読書感想文全国コンクール(2021年)の課題図書について、ストーリーや楽しく読んで楽しく書くポイントをご紹介します。まずは、小学校低学年の部からどうぞ。
『あなふさぎのジグモンタ』
洋服に開いてしまった穴をふさぐ、あなふさぎやのクモのジグモンタ。けれど近頃、古いものに否定的なお客さんが来たり、何日もの間お客さんが来なかったり……。ジグモンタは、あなふさぎはもう役に立たないと落ち込む。
けれど、森に出かけたジグモンタは、新しい「あなふさぎ」を見つけた。それは、穴がなかったのがわからないようにするのではなく、穴が愛おしくなるようなあなふさぎだった。大切な服からあふれてくる思い出に、心がじんわりと温まる。
読む&書くを楽しむポイント
- ジグモンタのように、手芸・工作・お料理など、手を動かして作るのが好きな人におすすめ。 美しいコラージュは必見。
- 赤ちゃんのころから一緒のおもちゃのように、大切なものはある人に。
- クモや虫が好きな人は、ジグモの生態にも注目を。
『そのときがくるくる』
なすが嫌いな1年生、たくまくんのお話。たくまくんは、学校は大好きだけど、給食になすが出る日だけは休みたくなるほどのなす嫌い。パパに無理矢理食べさせられてから嫌になってしまったのだった。
同じようになす嫌いの友だち(体も声も大きくてことば遣いが乱暴でちょっとこわい)とのやりとりや、畑でナスを作っているおじいちゃんの家での経験は、夏らしく、楽しく読める。おじいちゃんの「いつかきっと、そのときがくるから、むりに食べさせちゃいかん」ということばに、励まされる人もいるはず。
読む&書くを楽しむポイント
- 食べものの好き嫌いはある人におすすめ。 とれたての野菜は、とてもきれいで、かわいらしい。
- なんとなく仲良くできない友だちがいたら、そのことを思い出してみても。
- 克服したい、苦手なことはある人は、共感できるはず。
『みずをくむプリンセス』
アフリカに住む女の子ジージーは、毎朝遠くまで水をくみにいかなければならない。「どうして みずは とおいの?」「どうして みずは にごってるの?」「どうして うちには みずが ないの?」ジージーの目を通して、日本にはない、安全な水を手に入れるための困難が描かれている。
世界で活躍するモデルであるジョージー・バディエルの幼い頃の体験が元になってできた絵本であり、後書きでは、西アフリカのブルキナファソで今も村の人たちが水くみをしている様子や、バディエルが安全な水を届ける活動をしている様子が紹介されている。
読む&書くを楽しむポイント
- 水を簡単に飲むことが難しい人がいること、子どもでも水くみをしていることを知るきっかけに。
- ジージーに会えたら、どんなことをしたい? 話したいこと、聞きたいこと、一緒にしたいことを考えてみよう。
- 色がとても美しい絵本。真っ暗な空に光る星や、乾燥した茶色とアフリカの空気も味わってみて。
『どこからきたの? おべんとう』
今日は野原でお絵かき。まげわっぱのお弁当箱を開けると、おにぎりに卵焼き、アジフライ!
お母さんが作った「きょうの おべんとうの おかず」には、お弁当材料がどこから来たのか書かれている。たとえばポテトサラダなら「ひろい ひろい ジャガイモばたけで できた じゃがいもを のうかの ひとが あつめて よく かわかして」……などなど。
おいしそうなお弁当に幸せな気分になれるだけでなく、小さなお弁当から広い広い世界につながる楽しさが感じられる絵本。
読む&書くを楽しむポイント
- 身の回りにあるもので、「どこからきたの?」をやってみよう。一つひとつにかけられた人の手と気持ち、そして時間が実感できる。
- あたたかい色合いで、細かく描かれた絵も魅力。「きょうの○○」を作ってみてもいい。