今年も読書感想文の季節がやってきました。
第68回青少年読書感想文全国コンクール(2022年)の課題図書について、ストーリーや楽しく読んで楽しく書くポイントをご紹介します。まずは、小学校低学年の部からどうぞ。
『つくしちゃんとおねえちゃん』
二年生のつくしと、四年生の足の悪いお姉ちゃん。二人が、助け合ったりケンカをしたりする日常を描いた5つのエピソードが収められている。
素直で一生懸命、のんびりやさんのつくしと、頑張りやさんでしっかり者、いばりんぼうのお姉ちゃんが、お互いを思いやる気持ちが伝わってきて、うれしくなる。絵が多く、かわいらしいので、読みやすい。
読む&書くを楽しむポイント
- つくしとお姉ちゃん、どちらの視点で読んだかな? きょうだいのいる子は、共感ポイントがたくさんあるはず。自分だったらどうするかを考えてみよう。
- つくしやお姉ちゃん、自分のきょうだいへのお手紙形式で書くのもおすすめ。
- 全体を読んでの感想ではなく、特に印象に残った一つのエピソードをメインに書くと、あらすじばかりの感想文になりづらい。
『ばあばにえがおをとどけてあげる』
ファーンの大好きなばあばは、最近「じんせいから よろこびが きえちゃったみたい」に元気がない。ばあばの笑顔を取り戻そうと、ファーンは、すばらしく素敵な「ワアーイ!」を探して届けてあげようとする。
でも、子犬のはずむような「ピョン」、赤ちゃんの足をくすぐるパパの「コチョコチョ」「クスクス」も捕まえることができなくて……。そんなファーンに、おばあちゃんが言ったこととは? 色も絵も明るくおしゃれで、細かいところまで見たくなる絵本。
読む&書くを楽しむポイント
- あなたにとっての「ワアーイ!」を教えてください。
- 「ワアーイ!」を届けてあげたい人はいますか? また、「ワアーイ!」を届けてほしくなったことはありますか?
『すうがくでせかいをみるの』
あなたは、この世界をどんな目で見てる? この物語の主人公は、数学を通して世界を見ている。その目で見ると、いたる所に数学があることにびっくりさせられる。 でも、家族にはそれぞれ好きなことがあって、それぞれの目で世界を見ている。
好きなことのある豊かさと、世界の広さ・深さ、そしていろいろな見方のできる自由さに元気になる。
「女の子が理系なんて」という反応もまだまだ多い今、「らしさ」の押し付けがないこういった絵本にはぜひ出会わせてあげたい。
読む&書くを楽しむポイント
- あなたの好きなことはなんですか? 世界はどんなふうに見える? 逆に、好きなことが原因で、困ったことはありますか?
- 身近な人の好きなこと・困ったことについても考えてみよう。
『おすしやさんにいらっしゃい!』
表紙を開くと、ずらりと並んだ子どもたち。向かった先は…… お寿司屋さん!
魚介類を海で釣りあげるところから、お寿司になるまでを見えてくれる写真絵本。
色鮮やかな写真は、目の前で魚を見ているような迫力がある。コマ送りのように配置されている部分もあり、手順がわかりやすい。魚の正面、口の中、体の中など、じっくりみたことのない魚の顔や体、それから調理の方法に、「へー」「わー!」なんて言っているうちにあっという間に読み終わってしまう。
生きものは 食べものになって、きみたちの からだの いちぶになる。
わたしたちは たくさんの いのちで できているんだ。
読む&書くを楽しむポイント
- 絵本を読んだ後、実際に、観察してみたり、調理してみたり、お寿司屋さんに行ってみたりしてもよい。読む前とでは、見るところ、感じたことが変わったかな? それは、どんなふうに?
- 他の食べものはどうでしょうか? 好き嫌い、自分が育てて食べたことがあるもののことを思い出してみよう。