いつの間にやら、息子(小4)が「〇〇さんの夫さんに会ったよ」と言うようになっていた。
夫さんと、妻さん。
それに気づいたとき、おお、なんとナチュラルに使いこなしていることよ、と感慨深いものがあった。
聞けば、「ダンナさんとか奥さんっていうのはおかしいんだって、本とか新聞とか、いろんなところに書いてあるよね。そもそも、うちでは使ってないから」とのこと。
詳細は省くけれど、息子はていねいになぜ「おかしい」のかも説明してくれた。特に「ダンナ」は息子にとって、店主感もしくは江戸感がありすぎるらしい。
そして、目上の人を「夫」「妻」というのは呼び捨てのようだと感じるため、「夫さん」「妻さん」と呼ぶことにしたそうだ。
その上で、「ほんとは、夫とか妻とかも、区別しない方がいいんだよね。でも、名字しか知らないと、夫さんと妻さんをどうやって言ったらいいのかわかんないから、そういうふうに言ってもいいよね」と確認してきた。
息子の場合、私が呼称に関する記事を書いているとき、家族で話題にしてもいたから、興味もあったのだろう。でも、自分なりにいろいろ考えていたのだとうれしくなる。
実は私は、「夫さん」がドラマ「カルテット」で話題になったとき、使いやすそうだけれど、自分にはなじまないと感じていた。なんとなくソワソワするような気がして。
でも、息子が使っているのを聞いていると、拍子抜けするくらい普通だったし、自分の意志や感覚に従って軽やかにことばを選ぶ息子は、爽やかに見えた。
自分の配偶者に対する「夫」「妻」でさえ、場によっては、気取っているとか距離をとっているとか思われることもある。
けれど、もしかしたらその中には、今の私のように感じる人もいるかもしれない。意外と大丈夫そうだから、自分も使ってみようかな、と。
使いたいことばは人それぞれ。でも、こういうふうに影響し合うのも、またいいものだと思う。