【高校】読書感想文コンクール課題図書を楽しもう!

課題図書2021高等学校の部

今年も読書感想文の季節がやってきました。

第67回青少年読書感想文全国コンクール(2021年)の課題図書について、ストーリーや楽しく読んで楽しく書くポイントをご紹介します。最後は、高等学校の部です。

読書感想文を書くヒントをご紹介するため、物語の結末もご紹介しています。ご注意を!

目次

『水を縫う』

「男なのに」刺繍が好きで周囲から浮いてしまいがちな高校生・清澄は、姉の水青(みお)ため、ウェディングドレスを作ることになる。けれども、水青は、道でスカートを切られ、それを「ひらひらした服を着ていたせい」だと言われて以来、「かわいい」を拒否し続けていた。

「らしさ」にこだわってしまう母。女だからと制限をかけられてきた祖母。才能はあるけれど生活力のない父と、父を助ける友人。

章ごとに語り手が変わるため、登場人物たちがそれぞれの人生を懸命に生きていること、たとえ同じような悩みを抱えている者同士でも、わかることもわからないこともあるのだということ、そして、誰もが変わることができるということがよりくっきりと伝わってくる。

読み進めるうちに、まるで自分がさまざまな息苦しさから自由になったかのように感じられ、同時に、周りの人が愛おしく思えてくる。生きたいようにのびのび生きる気持ちよさを、思い出させてくれる物語。

読む&書くを楽しむポイント

  • 「普通」「らしさ」って何だろう? 自分からの、他者からの「制限」や「抑圧」、そしてそこから自由であること。心が解き放たれるような気持ちよさを味わってみてほしい。
  • 「好き」と「仕事」や「進路」について悩んでいる人に、特におすすめ。

【キーワード】多様性、ジェンダー、家族、希望

『兄の名は、ジェシカ』

家族でも学校でも、みんなのヒーローだった兄ジェイソンが実はトランスジェンダーで……という話が、13歳の弟の視点で語られる。

その弟自身も文字がうまく読めない難読症であり、それ以外にもさまざまな差別や偏見について触れられ、人間が、自分の理解できないものに対してとる態度がありありと描かれている。息苦しくなるような描写もあるものの、弟の語り口が正直で、決して読みづらさはない。

後書きによると、原作者のジョン・ボインは、自身がゲイで悩んだ経験があり、また、この本を書くにあたり、実際にトランスジェンダーの人に取材もしたそう。

現実に、できるだけいつわりのない人生を、ありのままに、ほんとうの自分らしく生きたいと願う人たちがいるのに、そうするには相当の覚悟が必要とされるのは、社会が、狭量なジェンダー分類にあてはまらない人に対して不寛容なことがあるからです。

読む&書くを楽しむポイント

  • ジェンダーを始めとする多様性の問題に興味があったり、自分は「普通」ではないと感じていたりする人におすすめ。
  • 「話を聞いてもらえない」「干渉される」「否定される」など、家族との関係に悩んでいるときにも読んでほしい。

【キーワード】トランスジェンダー、多様性、イギリス

『科学者になりたい君へ』

宇宙物理学者・佐藤勝彦さんの自伝。科学者の人生が垣間見えるだけでなく、優れた科学者になるにはどうすればいいか、大学・大学院・研究者の仕事や仕組みがよくわかる。

「ふしぎだな」「おもしろいな」と感じることの大切さ。知る喜びのある幸せ。「研究」というと一部の人にしか縁のないものと思われがちだけれど、一生続く「学び」やそれを支える好奇心についてだととらえると、身近に感じられるかもしれない。

読む&書くを楽しむポイント

  • 「これを勉強して何かの役にたつのか」と思ったことはありますか? 自分がワクワクするのはどんなときか、改めて考えてほしい。
  • 科学者を目指している人はもちろん、大学進学を考えている人は一読してほしい。大学がどんなところか、「研究」がどんなものなのか、進路について考えているときにおすすめ。

【キーワード】科学、進路、研究者、人生、学び

  • URLをコピーしました!
目次