
今年も読書感想文の季節がやってきました。
第67回青少年読書感想文全国コンクール(2021年)の課題図書について、ストーリーや楽しく読んで楽しく書くポイントをご紹介します。次は、小学校高学年の部です。
『エカシの森と子馬のポンコ』
主人公は、北海道の牧場で生まれ、そこを逃げ出して一人で生きている子馬のポンコ。ポンコと森の長老であるハルニレのエカシや、カメムシとの会話で、物語は進む。
感じること、考えること、心と身体、命― ポンコが不思議に思うことを一緒に追っていくうちに、その成長が伝わってくる。自然の美しさ、アイヌの歴史も織り込まれ、異空間を旅しているような気持ちになるような物語。
読む&書くを楽しむポイント
- 気になる会話はありましたか? 共感、納得、わからないなど、自分の気持ちや考えと比べてみよう。
- 大人になるというのは、どんなことなのか。少しずつ変わっていくポンコの姿から、何か発見がありましたか?
- ふわっとした、少し詩的な描写が少しわかりにくいときは、急がず焦らず、本を置いて目をつぶり、情景を想像してみよう。
『サンドイッチクラブ』
珠子は、中学受験生。塾で出会ったヒカルと共に、砂をけずって像を作るサンドアートの対決に挑むことになる。「変わらない景色の中で、砂はたえず動いている」― 広い世界と自分、自分とその内側にあるさまざま感情など、一粒の砂にいろいろなものが見えてくる。
珠子が見学に行った中学校の先生のことばも印象的。
将来を決めたからといって、すんなりうまくいくとはかぎらない。むしろ、うまくいかないほうがはるかに多いでしょう。芽が枯れても、心まで枯れない人。新たな種を育てようとする人。そういう人になってもらえるように、生徒たちをサポートしていくのがわたしたち教師の使命だと思っています。
将来について悩んでいる人も、きっと心が動く一冊。
読む&書くを楽しむポイント
- 成績優秀ながら貧しい生活をし、おばあちゃんの影響で戦争を恐れるヒカル、海外でも活躍している砂像彫刻家のシラベさん、同じ塾に通う友人たちなど、たくさんの人が出てくる。気になる人や、気になる理由に注目してみよう。
- 戦争や難民は、自分とは縁がないような気がしませんか? 登場人物の体験を通してそれらに触れることで、身近に迫ってくる。
『おいで、アラスカ!』
てんかんを持つスフェンと、両親の店が強盗に襲われた経験のあるパーケル、そしてスフェンの介助犬であり、元はパーケルに飼われていたアラスカの物語。「いまこの瞬間、どんなことが起こったっておかしくない」という大きな不安を抱える二人の勇気や希望に、力強く励まされる。
また、「今」の問題が取り上げられているのもポイント。てんかんの発作で倒れたスフェンを映した動画が出回ってしまう。SNSの底知れない怖さに、きっとゾクッとするはず。
読む&書くを楽しむポイント
- 大嫌いな人がいる、信じられないほどの失敗をしてしまった、もう立ち直れないと思う、そんなときはありますか? 何か悩んでいることは? 自分と重なる部分や希望が見つかるかもしれない。
- 「自分用のスマホ」を手に入れて、インターネット上の自由や友情をたっぷりと味わっている人は、別の視点を持つきっかけになるはず。
『オランウータンに会いたい』
オランウータン研究者が、その研究とオランウータン、オランウータンを取り巻く環境について書いた本。ユーモアがあってわかりやすく、研究者の生活やオランウータンの生態など驚きも多いので、楽しく読み進められる。
研究者の生活についても書かれているので、憧れの研究者がいる人、将来学問の道に進みたいと思っている人には特におすすめ。著者は、大学院の研究室を訪ねたとき「動物の研究者になりたいなんて、『芸能人になりたい』っていうのと同じだぞ」「それでもどうしても動物の研究をしたいというバカなやつは、俺は人類の宝だと思う!」と言われたそう。そんなふうに言われたら、あなたならどうしますか?
読む&書くを楽しむポイント
- オランウータンを守るために私たちができることも紹介されている。オランウータンや地球と、自分の生活とのつながりを考えることができる。
- 著者は女性です。「女らしくしなさい」「女の子はそんなに勉強ばかりしなくていいよ」と言われている人にはぜひ読んでほしい! 元気が出るはず。