今年も読書感想文の季節がやってきました。
第67回青少年読書感想文全国コンクール(2021)年の課題図書について、ストーリーや楽しく読んで楽しく書くポイントをご紹介します。次は、小学校中学年の部です。
『わたしたちのカメムシずかん』
岩手県葛巻町には、カメムシがいっぱい。どれくらい多いかというと、体育館の掃除をすれば、掃き集めたカメムシが、ゴミ袋4袋分にもなるくらい。ホテルでカメムシ対策をして「カメムシ発生中」と貼り紙をしておいても、臭い部屋に泊められたと怒ってお金を払わない人もいるくらい!
カメムシは、そんな「やっかいもの」でしかなかった。でも、校長先生の呼びかけで、みんながカメムシ博士を目指したら、なんと「宝もの」になった! 小学校が舞台の、本当にあったお話です。
読む&書くを楽しむポイント
- 大好きなものがある人は、自分も図鑑を作ってみたり魅力を誰かに伝えてみよう。 カメムシ博士の気持ちがきっとわかる。
- 嫌いなものがありますか? その理由は何でしょうか? もしかしたら、よく知らないから嫌、ということはないか、改めて考えてみよう。
- 身近なカメムシの意外と知らない生態も、おもしろい。
『ゆりの木荘の子どもたち』
ゆりの木荘は、有料老人ホーム。ある日、入居者のサクラさんの手まり歌をきっかけに、昔から時を刻んできた振り子時計が、逆回りを始めた。ボーン! 鐘の音が響いたとき、時は昭和16年― ゆりの木荘のお年寄りたちは、みな子どもに戻っていた。
そして、サクラさんは、子どもの頃のことを少しずつ思い出していく。ゆりの木荘に閉じ込められていた座敷童との約束や、戦争が始まる前に仲良くしていた友だちとのことを……。
謎解きの楽しさ、戦争の影、前に進むこと。楽しさの中にしんみりと考えさせられることのある本。
読む&書くを楽しむポイント
- 「課題図書」「戦争」ということばを難しく考えず、まずは不思議な物語を楽しんでみよう。
- 好きな人、ちょっと嫌な人、気になる人はいますか? その理由は?
- 身近な大人の人はどんな子どもだったのか、自分はどんな大人になるのか、過去・現在・未来の社会と一緒に想像してみよう。
『ぼくのあいぼうはカモノハシ』
ドイツに暮らす男の子ルフスは、動物園から抜け出してきた人間のことばを話すカモノハシ・シドニーと出会う。ルフスのお父さんが単身赴任しているのも、シドニーのふるさともオーストラリア。ふるさとに帰りたいと言うシドニーを手伝って、2人はオーストラリアを目指す。
やさしいルフス、賢そうでいてちょっととぼけたシドニー、大人っぽくなってきたお姉ちゃん。ストーリーの楽しさを味わえる、アニメのような映像が浮かんでくる、かわいらしく読みやすい物語だ。
読む&書くを楽しむポイント
- 自分に似ている人はいますか? 共感できるところは? 好きな人は? 気になったところを中心に自分と比べてみよう。
- 好きな登場人物への、お手紙形式で書くのもおすすめ。
『カラスのいいぶん』
カラスに散々な目にあわされて、カラスが嫌いになった作者が「カラスをギャフンといわせて、人間を見くびってはいけないと知らせたい」「そのためには、カラスのよわみをにぎるしかない」と始めたカラス観察。このきっかけからしておもしろい!
作者の気持ちが変化するように、だんだんとカラスの気持ちがわかり、読み終える頃にはカラスがかわいいと思えるかもしれない。ユーモラスで読みやすい文章なので、ノンフィクション(説明文)が苦手な人にもぜひチャレンジしてほしい。
読む&書くを楽しむポイント
- 読む前と読んだ後、ぜひ自分でもカラスの観察をしてほしい。観察が難しい場合は、カラスに持っているイメージや見たことのある姿などを、メモしておこう。「わたしの言い分」も大切です。
- 困っていることや嫌なことを、自分だったどう解決するか、考えてみよう。
- 生きること、環境、自然、いろいろな視点を持てる本だけれど、感想文を書くときは、自分が一番興味のあるポイントにしぼると、まとめやすい。