「NEOもMOVEもだめでした!」と言われることが、わりとよくある。
NEO(小学館)もMOVE(講談社)も、と訴えるその後ろには「定番なのに」「人気なのに」「うちの子だめなんでしょうか」といういろいろな気持ちが詰まっていることが多いのだけれど、悲しくなる前にぜひ確認していただきたいことがある。
そこさえクリアすれば、図鑑もお子さんも悪くない、ときっと思えるはず。
それでは、早速チェックしていきましょう!
まず確認! そもそも、絵本や本を読む習慣はありますか?
「本を開くとおもしろいことが書いてある」ということを、子どもは最初から知っているわけではない。もちろん、図鑑で何かわからないことが調べられることも知らない。これは、まわりの大人の働きかけで、はじめてわかることなのである。
本を読む習慣がないならば……
- まずは一緒に読んでみる、調べてみる。
お子さんが小さければ小さいほど、大人(特に親)と一緒に何かできるのを喜んでくれるもの。お子さんに聞かれたことを調べたり、パラパラめくって気になるところを見たりするだけでも、OK。
ちなみに、調べたところに付箋を貼るのもおすすめ。自分の本だといううれしさがあれば、貼る行為そのことへの喜びもあり、俄然やる気が出るよう。
また、図鑑のテーマに関する読みもの(お話や科学絵本)を読むことで、本の楽しさも共有できる。
その図鑑、お子さんが好きなジャンルですか?
特に、「勉強によさそう」「定番のジャンルだから」という理由で大人から渡したものは、最初は物珍しさで手に取ったとしても、その後は触れもしないということもあるだろう。
でも、仕方ない! 大人だって、興味がないものを無理に見るのはつらいだろう。
とはいえ図鑑が本棚(家)にあるというだけで、何気なく手にとること(さらに「はまる」こと)もあるし、「そういうジャンルが世の中にある」ということが子どもにインプットされるので、決して無駄ではない。
それでもすぐに読んでほしいなら……
- お子さんが本当に好きなジャンルの図鑑を用意する。
- 好奇心を刺激する。たとえば、そのジャンルのテレビを見たり、実物に触れる機会を増やしたりするのも有効です。
- まずは大人から、図鑑を読んでみる。
難易度は合っていますか?
興味のあるジャンルのはずなのにあまり見ない、最初はうれしそうに見ていたけれど途中からパッタリ触れなくなった、という場合、ひょっとしたら、書いてあることがよくわからないのかも。
図鑑好きにも、絵や写真を見ているだけで楽しいという子もいれば、何が書かれているかを知りたい子もいる。特に後者の場合「読めない」「読めても理解できない」ことがストレスになってる可能性もある。
小学生向けの定番の図鑑と言われているものであっても、シリーズによって難易度に差があり、さらに同じシリーズの中でも解説のわかりやすさには違いがあることは知っておきましょう。
難しいのかもしれないと思ったら……
- 一緒に読んだり、調べたりする。
- 図鑑の難易度を下げる。
手に取りやすいところに置いてありますか?
図鑑の置き場所は、小学校低学年までなら、「家族との会話が一番多い場所」がベスト。会話の途中で調べたくなったら、すぐに使うことができるから(大人がスマホですぐに検索してしまうのと同じ感覚です)。
リビングのほかにも、いろいろな場所が考えられます
- 食事の時間によく話したりダイニングテーブルで勉強したりする場合は、ダイニング。子ども部屋でお絵かきをするときに使いたい子なら、子ども部屋。寝る前にゆっくり読むなら寝室。ご家庭、お子さんにあった場所に置く。
- たいていの図鑑は重いので、手の届く下の方に置くのがポイント。
さて、最後にこんなことをいうのは申し訳ないような気がするけれど、 上のチェックポイントをクリアしても、まだだめだということもあると思う。
私は、図鑑を読むのはいいことだ、と思っているけれど、それでも、読まなくてはいけないもの、お子さんが読まないからといって怒ったり悲しんだりするものではないと考えている。
何より大切なのは、お子さんが毎日幸せであること、幸せを感じられるような心が育つこと。そのための手段は何であってもかまわないのである(もちろん、図鑑や絵本が、小さなお子さんにとって強力な手段であると信じているからこそ、ご紹介しているのだけれど、目的が達成できるのであれば、別のものであってもいい)。
大人の場合、学力UPにつながるかも、なーんてつい欲を出しがちだけれど、「日常の楽しみの一つ」として、ぜひ、ご家族で楽しんでくださいね。